アニメSSブックス

おすすめSS(主にアニメ系)を読みやすいように編集して紹介しています。※リンクフリー ご自由にどうぞ

とある魔術の禁書目録・とある科学の超電磁砲

【とあるSS】美琴「あんたも早く、脱いでよ///」(アニメSSブックス)

 学園都市。

 学生が八割を超えるこの街で一番空気が重くなるのが夏休み直後だ。

 空はまだ青く太陽は燦々と輝いていて気温も暑苦しいままだというのに学業だけが普通に始まってしまう。

 長期休暇中の開放感とダラけた生活も引き締められて両肩の上に窮屈な生活がのしかかってあちらこちらでため息の音が聞こえてくる。

 そういう空気が蔓延してわずかな隙間からも忍び込んでくるような、そんな時期だ。


 もちろん三年生受験生の上条当麻にはそんなものは関係ない。

 関係ないはずなのだが雰囲気とやらは感染する。

 どんよりと顔を暗くする学生たちをあちらこちらで見かけてしまえば、余裕があって羨ましいと思いながらもだんだんと自分の吐く息も重くなってくる。

 ましてや寄り道を含めた学校からの帰宅路。自然、体も草臥れている。

 これはいかんな、と自身を引き締めながらも上条は寮であるマンションのエレベーターのボタンを押した。


 ねっとりと肌にこびりつく湿度は相変わらずだ。

 今、上条の右手には学生鞄が、左手にはケーキの紙箱が下げられている。

 中に入っているのは特製特大のシュークリームでケーキではないのだが、まぁシュークリームの箱とは言うまい。

 半同棲の間柄の御坂美琴が注文していたらしい小ぶりなシュー、キャベツサイズのシュークリームが一つ。

 それを受け取るために三十分ぐらい遠回りし崩れないように気をつけながらの帰路だった。

 どうしても疲労している。


 しているが。

 まぁ、これでアイツの笑顔が見れるんなら安いもんだよな。

 と、鞄を下げたまま伸ばした人差し指で八階へ上昇するボタンを押した上条の顔には笑みが浮かんでいる。

 いつまでも草臥れたままでいるわけにもいくまい。


 軽く足裏が浮かび上がるような感覚の終了と共にエレベーターは八階に到着。

 垂れ下がりつつある前髪をうっとおしいと思いながら両手が塞がっている上条は部屋までのわずかな距離を足早に歩いた。

 ドアの前に立つ。

 学生鞄を持ったままの右手でドアノブを回す。


 がちゃ、という音と共にノブが回転――するはずが途中で止まった。

 鍵がかかっている。


 おや、と小首を傾げた。

 どう考えても人の気配はある。

 恋人は中にいるらしい。

 そりゃ、無用心だからと鍵を占めるのは構わないがいつもはこんなことはしていないはずだ。

 

 疑問に思っているとぱたぱたとつっかけたスリッパが床を叩く足音がした。

 ドアの覗き窓が黒くなる。

 こんなことをしなくともドアの向こうの存在ぐらい電磁波で理解できるはずなのに。


「おい、何してるんですか。上条さんはお帰りですのよ。早く開けてくれよ」


 壁越しでも声ぐらいは届く。

 特段恩に着せるつもりはないが受験生の身分で学校帰りにわざわざ寄り道をしてきたのだ。

 締め出される筋合いはない。


 が、


「当麻、そこに誰もいない?」


 とドア向こうの美琴はへんちくりんな確認をしてきた。

 繰り返すが彼女は薄扉の向こう側の人数確認ぐらい何の問題もなくできる能力者である。


「あ? なんなんですか、誰も居ないってばさ」


 怪訝な顔をした上条がそれでも辺りを見回す。

 狭い通路だ、誰かを見落とすということはありえない。

 隣の部屋の金髪サングラスかその妹のメイドがひょっこり顔を出す可能性もないわけではないがとりあえず無視してもいいだろう。


「誰もいないのよね?」


「いないってば」


 語尾を上げる確認の問いに再び視線を巡らせながら上条が答える。

 若々しさがないかもしれないがそれ相応に疲れているのだ。あまり遊ばないで欲しい。

 そうするうちにがちゃ、とシリンダー錠が回る音がした。

 さらにかちゃり、とチェーンを外す音もした。

 

 どれだけ用心深いんだよ、と流石にうんざりした上条が隙間から中を覗き込む。

 すると、


「―――なっ!?」


 絶句/唖然/硬直。

 大きく口を開けて上条が固まった。

 この時うっかりと手の力が抜けて学生鞄は落としたがシュークリームを落とさなかったのは素直に褒めていい。


「ほら、とうま、入って。はやくはやくっ」


 手招きする腕は白く肩まで抜けていて胸元のフリルのついたエプロンまで何も身につけていない。

 ふわふわとしたミント地に恋人お気に入りのカエルが大きくプリントされたエプロン。

 そこからはみずみずしい肢体が伸びていて、首元も大きく開いて細い鎖骨を晒し控えめな胸元のラインをわずかに匂わせて。

 膝への丈は二十センチもない。

 ここで怪しげに風でも吹いたらすべてめくり上がってしまう。

 本当に身一つエプロン一つ。

 正確には左手の薬指には上条のプレゼントしたアトラスのホワイトゴールド。足元はふわふわニットのゲコ太スリッパ。

 

「なっ、なん、なにをっ!」

 

 ここで反射的に鞄を拾って部屋に飛び込んで後ろ手に鍵をかけたのは上条の人生の中で十指に入れていいファインプレーだったかもしれない。

 誰もいないと分かってはいてももし万が一こんな姿を誰かに見せてしまったりしたら、と喉の奥に冷たい空気の塊を飲み込む。

 じわり、と違う汗をかいたことを自覚しながら上条はようやく人語を思い出した。

 

「馬鹿かお前っ! 見られたらどうするっ!超がつく有名人だろうがっ! 雑誌とか変なサイトとかに載ったらどうするんだよっ!」


「だから誰もいないか確認したじゃない」


 わざとらしく小首を傾けて上目遣い。

 伸ばしている肩甲骨まである明るい髪がさらりと揺れた。


「ここは学園都市だぞ!? 詳しくは知らないけれども、超光学望遠レンズとか、能力で撮影されるとか、いくらでもあるだろう!?」


「大丈夫大丈夫、電磁データならどこにあっても破壊できるわよ。私は超電磁砲だもの」


「そんなことじゃなくってだな!」


 顔をしかめながら説教をしようか、と思考し始めた上条だったが、恋人の顔に陰りが浮かぶと言葉が止まる。

 先ほどの態度以上にわざとらしいが、それでも悲しげな表情をされると何も言えなくなる。


「驚かせたかった、んだけどなぁ」


「いや、それは確かに驚いたんですが」


「ちょっとは喜んでくれるかなって思ってたんだけど、自意識過剰だったよね?当麻コスプレ好きだし、これなら衣装汚す心配ないかなって思ったんだけどね」


「いや、嬉しいですよ? ただ本当に驚いただけで」


 強引で危ういアプローチだがその裏側にある視線を感じてしまえば不快な気はしない。

 より一層魅力が増すだけだ。

 自動販売機に回し蹴りを入れて缶ジュースをギっていたお転婆娘がこうも変わるのだろうか。

 抱きしめたいという気持ちが止まらなくなる。

 

 そうして、わかりきったような演技にわかりきったような言葉を重ねていって、ようやく美琴の機嫌が治る。

 言ってみればゴッコ遊び。

 台本のない予定調和だ。

 男は惚れた女には決してかなわない。

 そういうふうにできている。


 ましてや、

 

「お風呂にする? ご飯にする? それとも、わ・た・し?」


 なんて昭和枯れススキレベルのお約束を言われた日にはノックアウトは確実だった。

 ぐう、とうなった上条の胸元にどん、と美琴がいいパンチを入れる。

 しかも直後にはかかとを浮かして軽く唇を重ねてきさえした。

 

「一回言ってみたかったんだけどさ、やっぱ恥ずかしいわね、これ」

 

 顔を真っ赤にして虚勢を張って。

 生意気にも程がある可愛らしさに先ほどの疲れはどこへやら、上条の身体の一部に見る間に血流が集まった。

 美琴以上に顔が真っ赤になるのを、ズボンが窮屈になるのを、そして喉がカラカラに乾いているのを自覚しながら。

 まだぶら下げていたシュークリームの入った箱を玄関脇、台所の流し台に置く。

 ふらふら、と少しだけ距離をとって、呼吸を整えて。

 わずかに離れた三歩の距離。振り返ってみれば真っ赤な顔をした恋人が後ろ手に上条を見つめていた。



「あ、今日は当麻も脱いでね。上半身だけでいいから」


「はい? 今日は、って美琴――」


「うん。私は今日は一日このまんまです。いやぁ、今の時期じゃないと絶対風邪ひいちゃうもの。ある意味でシーズン限定よね」


「そんな解説はどうでもよろしくてですねっ!

 ――マジ、なのか?」

 

「大丈夫。カーテンも閉めてあるしさ。ご飯食べたりテレビ見たりとかだけでもきっとドキドキしちゃうと思うのよねぇ。ある意味すっごく安上がりじゃない?」


「そういう問題か?」


「あ、あとさ」

 

 言って、美琴がその場でくるりと一回転。

 軽く回って腰下の部分のエプロンがひらりと舞う。

 しかし、丸くて白いヒップや薄い陰りは見えなかった。

 何故ならば、

 

「一応、下は履いているからさ。部屋、汚したくはないし」

 

 青いストライプに愛らしいカエルのバックプリントの下着が下半身を隠していたからだ。


 はは、と上条が軽く笑う。

 一方でふざけんなよ、と心のどこかで思う。

 両生類など世界から消滅させてやってもいいとすら思えてしまう。

 常識に竿をさせば喜ぶべきところだが、上条の中にだって情欲に流れている部分もある。

 漱石ではないがとかくこの世は生きにくい。


 とかなんとか考えていると。

 

「ほらほら、アンタも脱ぐのっ!一人だけこの格好だと恥ずかしいじゃない」

 

 と、ワイシャツのボタンを外され始めた。

 着ているシャツのボタンを外されるのだから当然上条のすぐ傍に美琴の身体がある。

 そして背が高い方でもない上条だが、オンナノコである美琴よりは背が高い。

 まして、美琴の今の姿は裸にエプロン一枚で胸元は大きく開けている。 


「あ、あの上条さんこれでも受験生でして、少しは勉強しないとまずいんですが」



 乾いた声で言えば、説得力ないな、と上条が自省する。

 何より本当に言い訳の言い訳に過ぎない。

 大体、どうあがいたって既に欲情している。この状況で赤本や黄本を開いたって問題が解けるわけがない。


「してこなかったの?」


「そりゃ学校ではしてきたけどさ」


「じゃあいいじゃない。こないだの模試だって十分合格圏だったじゃない。そのご褒美だとでも思ってさ」

 

 四当五落。

 なんて言葉が受験生の当たり前だった時代もあった。

 五時間も眠ったから受験に失敗とか、それって基本的に間違っているよなと思う反面、だからって気を抜きすぎていてもどうだかな、と上条は思う。

 幸いというべきか、今の調子で頑張れば第一志望は狙えるし徹夜をしたから成績が上がるというわけでもない。

 気分を切り替えるため、エンジンをフル回転させるニトロとしてのイベントがあってもいい。

 うん、そうしよう。


 とか上条が考えていると。

 何時の間にかカチャカチャと美琴がベルトを外しにかかっていた。


「ちょ、ちょっと美琴さん!?上半身だけってお話でせう?」


「うん、それ嘘。というか、なんか窮屈そうなんだもの」



 何が大丈夫なんだ、と心の内で反論してそれでも逆らえない自分に上条は嘆く。

 なんなの、この満面の笑顔。

 そりゃ笑顔が見たいなぁ、なんて思いながら帰宅しましたがそうですかこうですか。

 うん、開き直る。こうなったら思う存分楽しんでやろう。


 ようやく覚悟を決めた上条は自分から足を上げてひっかかっていたズボンをするりと脱ぎ捨てた。

 

 ここでいきなり恋人を選択できるほど上条は図太くない。

 とりあえずは食事。というか注文して持ってきたシュークリームである。

 端末で注文した際に美琴が既に代金を払い込んでいたため上条は携帯電話に転送された受け取り票を見せるだけで貰ってくることになった巨大シュークリーム。

 膝の高さのテーブルの上にどかんとのせられたそれは丸々とした小ぶりのキャベツであった。

 保冷剤を入れてあったことを考えても中身は普通に生クリームなのだがこの大きさでどうして生地が壊れないのか。

 おそるべし学園都市、と上条が考えているところを美琴が切り分ける。

 このサイズになるとホールケーキに概念的には近いらしい。


 上半身を屈めて包丁を握って真剣な面持ちで八等分していく姿に上条もどうしても真剣にならざるを得ない。

 上体を下ろせば自然、胸元が大きく開いて白い乳房が垣間見えるのだから。

 砂漠を風に踊らされてロール状になった枯れ草が転がる夕方、サボテンやらが存在する乾いた大地。

 テンガロンハットの男が二人。

 空に舞う一枚のコイン。

 そんな西部劇の決闘シーンのような妙な緊張感が漂ったり漂わなかったり。


 そうしてようやく切り分けた八分の一をフォークとスプーンでそれぞれ賞味する。

 ふわっとしてしつこくない甘さのクリーム、生地はさくさくと香ばしい。

 固いゼリーがクリームの中に埋もれていて、噛み潰すたびに閉じ込められていた爽やかなフルーツの果汁が口内で新たな音階を奏でる。

 生地全体にかけられた白い粉はアーモンドのようで、それがさほど主張しない割にはしかりと鼻腔の中のハーモニーに加わっていた。


「うん、美味しい」


 咲桜色に頬を染めた美琴が生地でクリームを掬って口に運んで、言う。

「そうか、よかったな。確かに美味しいよな、これ」


 返答する上条だが視線はあちらこちらと彷徨ってどうにも落ち着く場所がない。

 言葉もどこか検討ハズレの匂いがする。

 恋人の顔に集中しようとすればどうしたって身体の方に視線がいってしまう。

 かといって部屋の中に意識を振り向けられるほど目新しいものはない。

 そっちに無理やり意識を持っていってしまっても本能のうちにかちらりと白い四肢へと瞳孔が動いてしまうのだ。

 

 自分もまた下着一つだ。

 舐めるような視線をどうしても感じてしまう。

 細かい汗が背中に張り付いていた。

 どうにも、この部屋は微妙に暑いようだ。顔も火照ってしまっている。

 やっている行為はお互いが裸体に近いという一点以外は日常の範疇。

 だがこの異物が混じっただけで世界が別のものに書き変わっている。

 違和感がフィルターになって、バイアスとなって、当たり前である光景がどことなくピンク色のオーラを放っているように感じてしまう。

 それに慣れたくないのか、そわそわした気分は全く収まらなかった。


 どうしたって喉が渇く。

 一緒に淹れた冷たいお茶を一口喉に流し込む。

 それでも身体が熱い。


「なんか、暑いかもしんないわね」


 言って、火照った顔の美琴がエプロンの胸元を掴んで大きく引き出した。

 パタパタとやって風を入れる仕草をする。


「―――っ!」


 上条も暑いとは感じている。

 だから恋人のする動作は極めて自然だ。

 

 日常/非日常の境界線に心臓がガンガンと高鳴っている。

 頭がぼうっとなって彼岸へと渡ってしまいそうになる。

 かつて少年のようだった肉体は健康的なまま魅力的な女体へと進化していて、肌はすべすべてシミ一つない。

 強気な反面脆いところもあって妙に保護欲をかき立たせる。

 その癖、年下なのに姉貴ぶって指示してくるところもある。

 とても綺麗/魅力的だ。

 

「あー、ヤラしい目で見てるわねぇ。

 すっかり鼻の下伸ばしてさ」


 ごまかすような、からかうような目つきで美琴が上条を見つめた。

 鼻の頭あたりに小さな汗粒が浮かんでいてそれが妙に艶やかに光る。


「ほら、私のあげるから、ね? ほら、あーん、して?」


 言って、スプーンに乗せた生クリームを上条に差し出してくる美琴。

 ひとつのシュークリームを切り分けたのだから同じ味のはずだ。

 だが、差し出されたクリームは意識が蕩けそうな程に甘くて、そしてそれに負けないほどに胸の奥で甘酸っぱさを感じた。


「――甘い、な――」


 ただ、それだけの言葉を返すので精一杯。頷くのが精一杯。

 

 汗をかいているのに指先が冷たい。

 前歯の噛み合せ方がわからなくなる。

 それほど上条は追い詰められているのに、


「今度は、私」


 と、美琴は目をつぶって顎を突き出し、口を開けた。

 自分もやってほしいという意思表示。

 ほかの場所ほかの状況でやってもバカップル間違いなしの無防備な顔。

 出会った頃だったら絶対にしないだろう表情。

 

 かちかち、と前歯と前歯をぶつけながら上条は恋人がやってくれたように生クリームをスプーンですくった。

 そして小さな口へと差し出す。

 舌に匙が触れ、ぱくんと銜えられ。

 次の瞬間には恋人がニコッと笑った。


「当麻に食べさせてもらうと一段と美味しいっ!」


 その笑顔の愛らしさが上条の心臓を射抜く。

 心臓の加速が止まらない。上昇気流に乗ったかのようにどんどんと切なく愛おしくなる。

 同じぐらいに欲情が膨らんでいく。


もう…我慢できそうにない。

「あっ、ちょっと……んっ………ダメ///」



終わり



引用元
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1350107497/ 

【とあるSS】神裂「お姉ちゃんが久しぶりにアレしてあげる。」 上条「アレ?」(アニメSSブックス)

神裂「本当は24歳です、ごめんなさい。」


上条「まあ驚きはしないけどさ……」 


神裂「……」 


上条「い、いや!老けてるってわけじゃなくて、大人っぽいって意味だぞ?」 


神裂「そうですか……」 


上条「そう考えると神裂だけが敬語ってのもおかしいよな。 これからは敬語使った方がいいのかな……?」 


神裂「いえ、構いません。その代わり……お姉ちゃんと呼んでいただければ」 


上条「え?」

 

神裂「昔から弟が欲しくて……最初見た時理想の弟だなーって……ふふ」 


上条「お、おい……神裂?」 


神裂「はっ……す、すいません……勝手な事を言ってしまって。」 


上条「うーん……人前はお姉ちゃんは恥ずかしいなぁ…… 誰もいない時とかならいいんだけど……」 


神裂「……!じゃ、じゃあ例えば今ならいいですか?!」 


上条「お、おう」 


神裂の顔が一気に明るくなった

 


神裂「当麻の近くに行ってもい~い?」 


急に仲の良い弟に接するような口調になる神裂。 

上条も空気を読んでそれに乗った。 


上条「いいよ、お姉ちゃん。」 


神裂「~~~っっ」 


神裂が口にぐっと力を入れて今にも泣きそうな顔になった。 

その表情は、本当に弟が欲しかったんだなと納得させる顔だった。 


神裂「怪我はもう大丈夫?痛くない?」 


上条「うん、順調に回復中だよ。」 


神裂「よかった~。それならねー、お姉ちゃんが久しぶりにアレしてあげる。」 


上条「アレ?」

 

神裂は持ってきたカバンの中から細い棒を取り出した。 


神裂「病院生活でいっぱい溜まってると思って持ってきたんだ。」 


上条「たま……お、おい、かんざ……お姉ちゃん!」 


神裂「当麻、もうちょっとこっちに来て。」 


そう言うと、神裂は当麻においでおいでをした。 

上条は咳払いをしながら腰を移動させた。

 

上条「俺にも心の準備とか色々……」 


神裂は自分の膝を指さした。 


神裂「ひ・ざ・ま・く・ら」 


上条「ひざ……ああ」 


当麻は、神裂の持っていた棒が耳かき棒であるという事をそこで初めて理解した。 

最初は初心者用の大人のおもちゃと思っていた自分が恥ずかしくなった。 


神裂「ほら、早く。」 


膝の上をぽんぽん叩く神裂。 

当麻は言われるがまま神裂の膝に頭を下ろした。 


神裂「~♪」 


普段見せないような満面の笑みで当麻の頭を撫でる神裂。 

回すように撫でたり、頭を優しくぽんぽん叩いてみたり、色々な撫で方を試していた。 

嬉しすぎるのか、時々「んふっ」という声が漏れ聞こえた。

 

上条「お姉ちゃん……」 


神裂「な~に?当麻?」 


上条「……んん、なんでもない。」 


耳かきは?と聞こうとした当麻だったが、頭を撫でられるのが気持ち良かったので聞かなかった。 

女性に甘えた経験が無かった当麻は、痺れるような甘い快感を味わっていた。 


神裂「そろそろ耳かきしていい?」 


上条「うん、いいよ。」 


胸に挟んでいた耳かき棒を手に持った神裂。 


神裂「痛かったら右手あげてくださいね~。」 


上条「はーい。」 


「んふっ」という声が聞こえた。

 

神裂「当麻の耳可愛い~。」 


耳をこりこりといじる神裂。 

またかと思いながら、当麻もその状況を楽しんでいた。 


神裂「じゃあいくよ~、動かないでね。」 


神裂は当麻の耳の中に棒を挿入した。 

もともと耳かきをあまりやらない当麻の耳の中はかなり汚れていた。 


神裂「定期的にやらないと病気になっちゃうよ~?」 


献身的に耳かきをする神裂。 

一方当麻は丁度左頬が生太ももに当たるので、太ももの感触を楽しんでいた。

 

神裂「おっきいの取れたよ当麻。見て。」 


上条「おお……凄いね。」 


神裂「でしょー。ちゃんと耳かき専用の棒でやらないと駄目だよ? 指でやってもあんまり取れないからね。」 


神裂は耳かき棒をティッシュで拭き、当麻の頭をぽんぽんと叩いた。 


神裂「次は左耳っ♪」 


上条「お……うん!」 


当麻が体勢を逆にした瞬間、神裂のお腹が視界に飛び込んできた。 


上条「……!!」 


普段からお腹を出しているファッションではあるが、さすがにここまで近くで見るとたまらないものがある。

 

神裂「ふふっ……」 


上条「どうしたの?」 


神裂「当麻の鼻息がお腹にあたってくすぐったい。」 


上条「ご、ごめん。」 


こんなに近くで女性のお腹を見たことの無い当麻。 

興奮するなというのは無理な話である。 


神裂「うわー、こっちもいっぱいだね~。」 


上条「……」 


耳かきをされながら神裂のおへそを凝視する当麻。 

幸い神裂は巨乳なので、当麻の顔前面は見えていなかった。 

 

神裂「~~♪」 


コツがわかってきた神裂はノリノリだった。 

前のめりで耳掃除をする神裂。 

 

当麻は辛抱たまらずお腹を触ってしまった。 


神裂「だめっ!」 


上条「ひ、ご、ごめんなさい!」 


神裂「当麻にはまだ早いよ~。」 


神裂は当麻の鼻をつまんでそう言った。

 

右耳を掃除した時間を考えると、左耳もそろそろ終わりのはずである。 それを聞こうと目線だけ上に上げたが、やはりおっぱいしか見えなかった。 


上条「お姉ちゃん?もうそろそろ……」 


神裂の手が止まった。 


神裂「うっ……うぅ……」 


上条「……神裂?」 


すすり泣く神裂、当麻も思わず設定を忘れ、名前で呼んでしまった。 


神裂「ごめんなさい……」 


上条「どうしたんだ?」 


神裂「……こんなに幸せな時間が……もうすぐ終わるのかと考えたら。」 


上条「神裂……」

 

当麻は膝から顔を起こし、神裂と向き合った。 


上条「神裂……これはそんな大層な事じゃないだろ? やろうと思えばまたできるんだからさ。」 


神裂「でも……あなたに迷惑をかける事になってしまいます。 前の恩も返せていないのに、また新しい恩を……」 


上条「まーたお前は、恩恩って俺は別に貸しを作ったなんて思ってないんだからさ。 今日は俺も幸せだったし。 ……またこういうのやってもいいかなーって。」 


神裂「え……?いいんですか?私だけの独りよがりじゃなかったんですか?」 


上条「何回も言わせんなって。またいつでもどこでも……どこでもはまずいか。 だから泣くな。」 


当麻は神裂の涙をぬぐった。 


神裂「はい……すいません。」

 

上条「まぁ、今日はもうここまでにしとくか。お姉ちゃんごっこ。」 


神裂は笑った。 


神裂「ええ、そうですね。長居しすぎました。」 


上条「病院生活は寂しいからさ、また気兼ねなくきてくれよ。 友達が来てくれるのも最初だけなんだよな。」 


神裂「はい……必ず……」 

 

──── 

──────── 

 

神裂は義理堅く、約束通り何回も病室に来てくれた。 

当然、あの関係は続いている。 

会話が途中で途切れた時、「おねえちゃん」と呼ぶのが秘密の合図になった。 


来るたびにボディータッチが増えてきている神裂。 

姉と弟という設定だが、果たして俺は理性を保てるのか…… 



終わり



引用元

http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1317212453/ 

【とあるSS】姫神「ねぇ、私….かわいい?」5/5(アニメSSブックス)

七話 林檎と咆哮と



とある病院 


土御門「全くデートの約束してるくせにどうやったら車に轢かれるんだにゃー」 


青ピ「全くやわ!姫神ちゃんみたいな可愛い子を一時間近く待たせるなんて死刑もんやで!ねー?」 


上条「うるさい!上条さんだって姫神には本当に申し訳なく思ってますよ!」ウガー 


土御門「姫神も心細かっただろうにゃー」 


青ピ「ホンマやで!姫神ちゃんもこんなやつ待たないでボクらを誘ってくれればいいものを!」 


上条「お前ら本当に言いたい放題だな!上条さんは怪我人ですよ、怪我人!」 


土御門「はいはい。にしても4tトラックに跳ねられても無事ってどんな身体してるんだにゃー」 

 

青ピ「ホンマや。しかも轢かれた時の怪我が両手の打撲だけ。救急車の階段踏み外して足の骨折るとかないわー」 


上条「う、うるさいなぁ!あの時は車に轢かれて気が動転してたんだから仕方ないだろ!」 


土御門「運転手さんが駆け寄ってきたときの第一声が『ネコは!?ネコは大丈夫なのか!?』だからにゃー」 


青ピ「全くや。いくら猫のためとはいえ、まず自分の心配せなあかんやろ」 


上条「けどまぁイヌも怪我がなくてよかったよ」 


土御門「ん?」 


青ピ「『イヌ』?」 

 

上条「そうそう。足の骨まで折って助けられないとか、これが本当の『骨折り損のくたびれ儲け』なんつってな」ドヤッ 


土御門「それよりカミやん。カミやんが助けたのって犬と猫どっちなんだにゃー」 


青ピ「あ、ボクの聞き間違えやなかったんやね」 


上条「上条さん渾身のボケをスルーですか!? 


土御門「で、どっちなんだにゃー」 


上条「ううう。だから『イヌ』って言う名前の猫なんだよ」 


青ピ「なんて捻くれた名前なんや 

 

土御門「すごいセンスだにゃー。で、その助けた飼い主はどんな人?」 


上条「あー。なんか常盤台っていう女子校の双子らしいな」 


青ピ「『常盤台』!?あの日本屈指の有名女子校やん!それは是非とも紹介してもらわな!」ガバッ 


土御門「あー青ピ?」トントン 


青ピ「なんやの軍曹。ボクはこれから常盤台の双子ちゃんのアドゲットせなあかんねん!」サッサッ 


土御門「アドは今度にして今日はに帰ったほうがいいと思います、はい」 


青ピ「その気持ち悪い敬語やめたらどうや、ぐんそ……」チラッ 


姫神「早く。続きの話をすればいい」ニコッ 

 

土御門「い、いやぁ……僕たちはそろそろお暇しようと思います。な!青ピ!」ガラガラ 


青ピ「お、おう!……ほな上条君!二学期もよろしくな!」ピシャッ 


上条「ちょっ!?おまっ!お前らふざけんなよ!この空気どうすんだよ!お前らマジふざけんなよ!」バタバタ 


姫神「上条君。どうしたの?私と常盤台のお嬢様について。お話しよう」ニコッ 


上条「ひ、姫神さんその右手にあるものはなんでせうか?」オドオド 


姫神「これ?剥ごうと思って洗って来た。果物ナイフ」キラーン 


上条「く、果物はは、剥ぐじゃなくて剥くじゃないでせうか……?」 

 

姫神「そう。上条君がお利口になって。私も鼻が高い」ニコリ 


上条「あ、ありがとうございます……」オドオド 


姫神「…………………… 


上条「………………… 


姫神「…………………… 


上条「………………… 


上条「あ、あの姫神さん?」 


姫神「なに?」ジー 

 

上条「その怒ってますか?」 


姫神「別に。怒ってない。これはただの嫉妬」 


上条「す、すみません…… 


姫神「それより。私の剥いたリンゴ食べる?」 


上条「た、食べさせていただきます」グイッ 


姫神「ダメ。」サッ 


上条「え……っ?」 


姫神「ダメ。私が食べさせる」ジー 


上条「い、いやぁそれはその何と言いますかはずか 


姫神「よよよ。上条君が常盤台に。心移りした」 


上条「別に心移りなんてしてませんよ!?」アタフタ 


姫神「なら。あーんをされるべき」スッ 


上条「はぁわかりましたよ」 

 

上条「……………… 


上条「……あーん」 


姫神「あーん。どうおいしい?」 


上条「おう!姫神が剥いてくれたからおいしいぞ」ニコッ 


姫神「違う。」 


上条「なにがでせうか!? 


姫神「名前。姫神は私だけじゃない」 


上条「ううぅ…… 


姫神「ダメ。唸っても許さない。秋沙。あ・い・さ。リピートアフターミー」ジー 


上条「……………… 


姫神「はい。リピートアフターミー」ジー 


上条「秋沙が大好きだあああああああああああああああ!」 


姫神「うん。私も当麻が大好きだよ」チュッ 


終わり




引用元

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370945717/ 

【とあるSS】姫神「ねぇ、私....かわいい?」4/5(アニメSSブックス)

詩菜「あら?お勉強はもう終わりなの秋沙ちゃん?」 


姫神「うん。上条君のHPがゼロになった。らしいので休憩を兼ねて食事を」 


上条「食事がついでなんですか…… 


詩菜「あらあら。秋沙ちゃん、うちの息子はどうかしら?」 


姫神「ダメ。集中力が全然ない。基礎がまったくできていない。あと私の胸をチラチラ見てくる」サッ 


上条「実の親に向かって素直すぎませんか!?あと上条さんは胸なんて見ていませんが!? 


詩菜「あらあら。うちのバカ息子がごめんなさいねぇ」 

 

上条「納得しないでください!あとバカ息子って格下げしないでください!」 


姫神「大丈夫。必ず上条君は私が公正してみせる」 


上条「あと上条さんは別に不良とかヤンキーとかじゃありませんから!」 


詩菜「秋沙ちゃんがそう言ってくれると助かるわ~。うちの子コレだからねぇ」 


上条「あの、お母様……無視しないでもらえませんか?」 


姫神「うん。でも心配しないで詩菜さん。上条君は私が真人間にしてみせる」 


上条「姫神さん!?上条さんは超平々凡々の真人間ですが!? 


姫神「ダメ。というのは…… 

 

上条「お、お母様!食事前に手を洗ってきます!」ダッ 


詩菜「あらあら~。逃げ方が刀夜さんそっくりねぇ」 


姫神「おじ様。見たことない。どういう人?」ジー 


詩菜「刀夜さん?そうねぇお人好しで紳士的で凛々しくて、気付いたら女の子に囲まれている人かしら。そうそう、お仕事は大学で考古学を専攻してるわねぇ」 


姫神「凄い。上条君そっくり。けど大学の先生と言うことは頭いい?上条君には受け継がれなかった?」 


詩菜「うふふ、そうね。確かに刀夜さんからお勉強を抜いたら当麻ねぇ」 


姫神「詩菜さん。自分で言っておかしいけど。そこは否定してあげるべき」 

 

詩菜「あらあら。でもね、秋沙ちゃん。わたしは別に当麻に賢くなってほしいわけじゃないの」 


姫神「なぜ。勉強教えないほうがいい?」 


詩菜「ただ素敵な女の子を見つけて、わたしや刀夜さんみたいに幸せな家庭を持てばそれでいいのよ」 


姫神「今の。詩菜さん凄く嬉しそう」 


詩菜「そうね。あとは当麻の連れてくる女の子がわたしの知っている娘だったらもっと嬉しいかなぁ」 


姫神「うん。紹介してもらえるよう頑張る」グッ 


詩菜「うふふ。それじゃあお昼ご飯を作りましょうか」 

 

姫神「うん。私もお手伝いする」 


詩菜「ありがとう秋沙ちゃん。でも今日はお素麺なのよねぇ」 


姫神「そう。お手伝いすることない?」 


詩菜「そうねぇ……。なら薬味を切ってもらおうかしら」 


姫神「大丈夫。最近切る速度が少し早くなった」 


詩菜「そうそう、素麺って言ってもスーパーで売っている298円のものじゃないのよ?頂き物なんだけどすごくおいしいの」 


姫神「知らない。詩菜さんがそう言うなら楽しみ」 

 

上条「――……母さん!タオルのストック切れてるんだけど!」 


詩菜「あらあら。洗濯物たたんでそのままだわ」 


姫神「いい。私が渡してくる。他に仕舞うものある?」 


詩菜「そうねぇならバスタオルもお願いできる?」 


姫神「わかった。じゃあ行ってくる」 


詩菜「はいはーい」 


姫神「上条君。フェイスタオル持ってきた」 

 

上条「はいはって姫神!?母さんは?」 


姫神「お料理。火を見てるから私が来た」 


上条「そりゃありがとさん。にしても母さん姫神を頼りすぎだろ」 


姫神「違う。私がお手伝いしてるだけ。好きでしてるから気にしないで」 


上条「ははっ。その内家のこと俺よりわかるんじゃないか」 


姫神「うん。お台所なら多分そうかも。流石に家全部は無理」 


上条「マジですか。と言うか姫神には勉強とか世話になりっぱなしだなぁ」 

 

姫神「大丈夫。私が好きでしているから。上条君は気にしないで」 


上条「とは言ってもですね、上条さん的には気になると言いますか。何かお詫びをしたいなぁと」 


姫神「そう。本当に好きでしているから。上条君は気にしなくてもいい」 


姫神「けど。上条君がそう言うなら一つお願いがある」 


上条「はいはい!上条さんは姫神さんの言うことなら何でも聞きますよ!」 


姫神「本当。なら私と結婚して欲しい」ジー 


上条「はいはい結婚です結婚!?ひ、姫神さんそれはいくらなんでも早すぎるのでは!? 

 

姫神「そう。何でもするって言ったのに。上条君はウソをついた」 


上条「い、いやぁ上条さん的には全く問題ないっていうか……。そのなんといいます 


姫神「ふふふ。さっきの言葉は冗談。いくらなんでも話が飛躍しすぎ」クスッ 


上条「ひ、姫神……。そういう冗談を真顔で言わないでください。物凄く心臓に悪いです 


姫神「なら。これからは安請け合いしない。それは上条君の悪癖だから」 


上条「はい…… 


姫神「上条君。本当のお願い事。言っていい?」 


上条「はい上条さんに出来ることなら 

 

姫神「ふふっ。心配しないで簡単だから。今度の夏祭り一緒に行って欲しい」 


上条「夏祭り?それって一学期最後の日にやるアレですか?」 


姫神「そう。誰か他の人と約束した?」 


上条「いえいえいえ!せいぜい野郎三人で回るつもりだったからむしろ嬉しいです!」 


姫神「良かった。集合はいつがいい?」 


上条「うーん。なら夕方六時にとある通りのとあるコンビニでどうだ?」 


姫神「うん。夕方六時にとあるコンビニ。遅刻したらスプーンでくり貫くから」 

 

上条「何をでしょうか姫神さん!? 


姫神「ふふふ。聞きたい?」 


上条「え遠慮しておきます」 


姫神「そう。そろそろ素麺が茹で上がった。はずだからそろそろ戻ろう」 


上条「そうだな。ついでに手洗えば?」 


姫神「大丈夫。包丁を使う前後で洗うから」 


上条「あぁ姫神ってそういうのマメそうだもんなぁ」 


姫神「普通。それから上条君 


上条「ん?」 


姫神「夏祭り。楽しみにしている」ニコッ 


上条「お、おう



 


六話 夏休


小萌「今日で一学期は終わりですが、夏休みだからと言って羽目を外し過ぎないようにしてくださいねー」 


青ピ「せんせー!ボクぁ先生に会えなくて寂しいです!」 


小萌「お気持ちだけ受け取っておきますねー。それから上条ちゃん」 


上条「ふぁい!?」ガタッ 


小萌「上条ちゃんはお昼ご飯を食べた後でいいので、わたしの所に来てくださいねー」 


上条「そ、そのお手柔らかにお願いします…… 


小萌「そうですねー。ただこれは上条ちゃんのためなので、くれぐれも逃げたりしないでくださいねー」 


上条「はい 


小萌「それではみなさん、いい夏休みを過ごしてくださいねー」 

 

   ☆   ☆   ☆ 


姫神「全く。全部赤点は回避したのに。どうして出席数で呼び出されるのか」 


上条「申し訳ありませんorz 


姫神「はぁ。小萌先生が救済処置。取ってくれたからよかった。しっかり受けること」 


上条「はい 


姫神「私。今日の夏祭り楽しみ。にしているから遅刻は厳禁」 


上条「はい……。それにしてもこのジャガイモの煮っ転がしうまいなぁ!」 


姫神「逃げた。でもお料理を褒められるのは。すごくうれしい」 

 

上条「いやいやいや!上条さんは本当にそう思ってますから!これ姫神が作ったのか?」 


姫神「そう。もし気に入ったならレシピ。詩菜さんに伝える?」 


上条「いや、いいや。その代わりたまに作ってきてくれませんかね?」 


姫神「うん。作るのはいいけどレシピ。本当にいらないの?」 


上条「おうっ。にしても中庭にこんなベンチがあるとは思いませんでしたよ」キョロキョロ 


姫神「当たり前。ここは私の百八ある秘密の場所。だから誰も知らない」 


上条「姫神さんは百八個も秘密をもっていらっしゃるんでせうか?」 

 

姫神「もちろん。乙女は皆秘密を持っている。ちなみに保険の操祈先生はメーター。振り切ったから詳細は不明」 


上条「あの人何者なんだよ…… 


姫神「上条君。知りたいの?知りたいのなら教える」 


上条「やめとくわ……。なんか踏み超えちゃいけないもの色々と超えそうだから」 


姫神「うん。そうしたほうが懸命。知識は不可逆性だから後悔する」 


上条「何があったんだよこえーよ操祈先生…… 


上条「にしてもここ本当に気持ちいいな」 

 

姫神「うん。今日は風があるから。いつもより過ごしやすい」 


上条「なんかこう天気がいいと眠たくなるよな」 


姫神「上条君。補習は受けないとダメ」 


上条「いや、別にサボろうとは思ってないけどさ。ただ二時間も間が空くとなぁ 


姫神「ダメ。気持ちはわかる。けど補習が大事」 


上条「わかってますよー」ゴロン 


姫神「あ。横になったらダメ。そのまま寝過ごすから」 

 

上条「上条さんはやるときはやる男ですよー」 


姫神「ヤる。時はヤる男。上条当麻十六歳」 


上条「な、なぜでせうかイントネーションに違和感を感じたのですが…… 


姫神「違う。違和感を感じるは間違い。正しくは違和感を抱く。もしくは違和感を覚える。リピートアフターミー」 


上条「二時間後に補習を受けるので……姫神式広辞苑は止めて下さい 


姫神「ふふふ。わかった。今日はやめておく」 


姫神「上条君。今日のお祭りは何着るの?」 

 

上条「……………… 


姫神「上条君。上条、くん?」キョトン 


上条「………………zzz 


姫神「最近。勉強忙しかったから。仕方ない」 


姫神「寝顔。すごく幼く見える。ふふっ」 


上条「んがぁ……っ」 


姫神「前髪。少し垂れてきた」 


姫神「……………………」サッ 

 

姫神「よし。……よいしょ」ギュッ 


上条「……………… 


姫神「意外。頭ってすごく重い。上条君だけ?」 


姫神「流石に。何時間もは無理そう」 


上条「……ふ、不等式がおそってくる…… 


姫神「ふふっ。上条君は夢でも頑張ってる」 


上条「んん……っ」 

 

姫神「おでこ。かわいい。でも少し広いかな?ふふっ」ナデナデ 


姫神「上条君。手も私より大きい。それに体温高い?」ギュッ 


姫神「やっぱり。男の子なんだ。この手でたくさんの他人。助けてきたのかな」 


姫神「今日。夏祭り誘われてたこと。嫌じゃなかった上条君」ボソッ 


姫神「ごめんね。卑怯でごめんね上条君」 


姫神「でも。今日は頑張るね上条君」 


姫神「だから。ごめんね上条君」チュッ 

 

上条「…………んあっ…… 


姫神「これは。すごく恥ずかしいかも」ポッ 


姫神「上条君。分けてもらった。勇気で頑張るよ」グッ 


姫神「ふふっ。それにしてもなかなか起きない」 


姫神「そろそろ。起きないと補習遅れる」 


姫神「上条君。そろそろ起きて」ユサユサ 


上条「ん……っ。おはよう、姫神。膝借りて悪いな」 

 

姫神「大丈夫。それよりそろそろ補習始まる」 


上条「おうっ。それじゃあ行ってくるな」 


姫神「うん。いってらっしゃい。今日の六時だよ?」 


上条「わかってるよ。じゃあコンビニでな!」 


姫神「……ふぅ。あんなに走らなくてもいいのに」 


姫神「……。それにしても上条君。あんなに寝起き良かったかな?」キョトン 

 

上条「あー!もう!チクショー!」ダダダッ 

 

  ☆   ☆   ☆    

 

姫神「上条君。まだかな…… 



 

つづく

4/5→http://animessbooks.blog.jp/archives/16476742.html




引用元

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370945717/

【とあるSS】姫神「ねぇ、私....かわいい?」3/5(アニメSSブックス)

四話 不意

 

姫神「上条君。少しいい?」クイクイ 


上条「おう、姫神。どうした?」 


姫神「これ。詩菜さんに頼まれたレシピ本。お願いできる?」ジー 


上条「大丈夫ですよ。母さんに渡しておけばいいんだな?」 


姫神「うん。それから今日。夕方からお家にお邪魔する」 


上条「また母さんと料理の研究?」 


姫神「そう。でも研究なんていうほど。大それたものではない」 

 

上条「いやいやいや。料理に自信のあった上条さんも姫神さんには負けてしまいます」 


姫神「大丈夫。男の子であそこまで。料理できるのはすごい」 


上条「ありがとうな。さてじゃあ今日は一緒に帰るか?」 


姫神「上条君。イヤでなければ一緒に帰りたい。一緒でもいい?」ジー 


上条「おう!母さんには俺からメールしておくから」 


姫神「わかった。それと上条君。『授業はしっかり受けること』。詩菜さんからの伝言」 


上条「へいへい。姫神さんに言われなくても上条さんはがんばりますよっと」 

 

姫神「わかった。それじゃあ放課後。校門前で待っている」 


上条「はいよ。じゃあまた後でな」 


姫神「うん。またあとでね」 


上条「ふぅ……。ってなんだよその顔は、青ピに土御門」 


青ピ「別にぃ……。黒髪ロング巫女美少女とギャルゲー的日常を過ごすカミやんの頭に隕石が落ちるよう、祈っているだけですよー」ジー 


土御門「要約すると『イチャついてんじゃねーぞこのヤロウ』ってことだにゃー」 


上条「べ、別にイチャつくとかそんなんじゃありませんよ。ただ母さんと姫神の仲がいいか…… 

 

青ピ「なんでボクには黒髪ロング巫女美少女とのイチャイチャタイムがないんだ!」 


土御門「青ピはそういう邪念が滲み出しているからだにゃー。カミやんを見なさい」 


青ピ「………………」ジー 


上条「……な、なんだよ」 


土御門「数々の降ってくるラッキースケベを『不幸だー』で済ませることによって、下心を巧妙に隠しているんだにゃー」 


青ピ「な、なるほど!つまりボクもラッキースケベを『不幸だー』で済ませれば、モテモテになるってこと!? 


土御門「ところがどっこいそうは上条さんが許さないんだぜ」 


青ピ「な、なんだってー!……で、どういうことでしょうか?」 

 

土御門「カミやんの場合はお節介で好感度をあげまくっているから『不幸だー』で終わっているわけだ」 


青ピ「というのは?」 


土御門「よく考えてみるんだにゃー。普通好きでもないやつにπタッチされたら気分は最悪だろ?」 


青ピ「そうかな? 


なんたってボクぁ落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力を持ってるんよ? 


つまりボクにとって痴女くらい余裕でストライクというわけですよ」 ドヤッ 

 

土御門「その空っぽの頭で考えるんだにゃー。痴女なんてクラスに一人、二人居ればいいほうだにゃー」 


青ピ「……今ボク思いっきりバカにされたよね?」 


土御門「よく考えるんだにゃー。もし仮に今の俺のセリフが痴女系ドS女教師のセリフだったらどうする?」 


青ピ「そんなん全然ありに決まってるじゃないですか!ボクらの業界ではそれをご褒美っていうんですよ!」 


土御門「つまり今のセリフもご褒美になるってわけだにゃー」 


青ピ「なるほど!…………あれ?」 


上条(……アホだ) 


土御門(青ピがアホでよかったぜ) 

 

土御門「というわけで話が少し脱線しちまったが、カミやんは好感度をあげているからラッキースケベも許されるわけだ」 


青ピ「な、なるほど!つまりボクも好感度をあげればカミやんみたいになれるっていうことですね!土御門先生!」 


土御門「そういうことだにゃー。というわけで好感度あげがんばるといいにゃー」 


吹寄「上条!貴様らはまたくだらないことばかりしよってからに!」 


上条「お、俺ですか!?俺なんですか!? 


吹寄「何かあればその中心に貴様がいるだろう上条当麻!」 


上条「ふ、不幸だああああああああああ!」 

 

  ☆   ☆   ☆ 


青ピ「どうしてウチの学校ってブルマーじゃないんかなー」ボー 


土御門「メイド服こそ至高だにゃー。ミニスカメイド服は許せないのにゃー」クター 


上条「お前ら真面目に動けよ!なんでセンターの上条さんがライトやレフトにいるんだよ!」ハァハァ 


土御門「カミやんは真面目だにゃー。その調子でがんばってほしいぜい」 


青ピ「今ボクは世界の不合理さを嘆いているからパス」 


上条「くそう……このままじゃ上条さんはあと一コマ授業を受ける体力も残らない……そうだっ」 


上条「おーい、土御門。お前の義妹が遠くからお前のこと見守ってるぞー」 

 

土御門「な、なんだってにゃー!……仕方ない、いっちょがんばってみるかにゃー」 


上条「……よし。おーい青髪!ここでファインプレイすれば女の子の好感度あがるぞー」 


青ピ「な、なんやって!……仕方ない、ボクの妙技をみせてやるか」 


土御門「…………来た!見てろよ舞花!必殺土御門キャッチ!」 


上条「……ま、マジですか。スパイダーキャッチかよ…… 


青ピ「きたきたきたきた!美少女たちよ、見ててやぁ!これがボクの必殺キャッチ!」 


上条「今度はダイビングキャッチ……。てかお前らそれだけ動けるなら始めから頑張れよ!」 

 

土御門「能ある鷹は爪を隠すんだにゃー。と言うわけで次はカミやんの番にゃー」 


青ピ「ボクは美少女のためなら宇宙服無しでも宇宙遊泳する男だぜ?ダイビングキャッチくらい余裕、余裕」 


上条「ま、マジですか……。てかそれなら始めから頑張れよ!」 


土御門「細かいことは気にしちゃダメだにゃー。というわけで次はカミやん」 


青ピ「美少女がいるならがんばれます!というわけでお次はカミやんどう……あ、ほらカミやん来たで?」 


上条「仕方ない……。上条さんもやってやりますよ!…………必殺、上条キャッチ!」 


土御門「おぉ!…………って危ない!カミやん後ろ!後ろ見ろ!」 

 

上条「……ん?つーか打球伸びるなぁ。後ろが何だって言っているんですか…… 


姫神「きゃっ。」ドンッ 


上条「ひ、姫神!?あぶねぇっておわっ!?」ドサッ 


上条「…………いてて。姫神大丈夫か!? 


姫神「あまり。大丈夫ではないかも」ジー 


上条「えっ?ひ、姫神!足から血がっ!」 


姫神「大丈夫。膝より関節のほうが痛い」 

 

上条「ま、マジですか……。早く保健室に行かないと!」 


姫神「うん。だからそろそろ上から。どいてくれると嬉しい」 


上条「し、失礼しましたぁ!土御門!というわけで後のことは頼んだ!」ギュッ 


姫神「大丈夫。一人で保健室に行ける。から……って。上条君!?」ジタバタ 


上条「おわっ!危ないから暴れないでください姫神さん」 


姫神「大丈夫。だから放して。凄くはずかしいっ」 


上条「確かに少し顔赤いな。でも気にする必要ありませんよっと。なんせこれは看護行為ですから」ニコニコ 

 

上条「ま、マジですか……。早く保健室に行かないと!」 


姫神「うん。だからそろそろ上から。どいてくれると嬉しい」 


上条「し、失礼しましたぁ!土御門!というわけで後のことは頼んだ!」ギュッ 


姫神「大丈夫。一人で保健室に行ける。から……って。上条君!?」ジタバタ 


上条「おわっ!危ないから暴れないでください姫神さん」 


姫神「大丈夫。だから放して。凄くはずかしいっ」 


上条「確かに少し顔赤いな。でも気にする必要ありませんよっと。なんせこれは看護行為ですから」ニコニコ 

 

姫神「そういう。問題じゃない。お姫様抱っこは恥ずかしい」 


上条「なるほど。でも残念でした。もう保健室まで。あとわずかですよ姫神さん?」 


姫神「ううぅ。上条君に辱められた。もう生きていけない。それとその口調私の真似?なら腹が立つ」 


上条「ひ、人聞きの悪いことを言わないでいただきたいのですが!?あと似てなかった?」 


姫神「うん。どちらも酷い。猫がにゃーと鳴いたほうが。上条君よりも似ている」 


上条「そ、そんなに酷いでせうか?……あ、あと姫神さん。あまり腹に顔を近づけられると恥ずかしいのですが」 


姫神「だめ。上条君は知らないと思うけど。お姫様抱っこは想像以上に怖い。だからしっかりと捕まる。ダメ?」 

 

上条「だ、ダメと言うわけじゃないけど。……その、さっきまで運動していたから、さ。汚いだろうし汗臭いだろ?」 


姫神「そう。確かに汗の匂いはする。けど別に汚いとは思わない。上条君は私のために頑張っている。そんな汗が汚いはずがない。違う?」スンスン 


姫神(汗臭い。けどなんだか少し癖になる) 


上条「そう言ってくれるのは嬉しいけど、やっぱり恥ずかしいと言うか……あの、姫神さん。匂い嗅がないでください」 


姫神「なら。それはちょうどいい。私も周りの好奇の目に晒された。上条君も恥ずかしい思いをするべき」 


上条「それを言われてしまうと上条さんは何も言えなくなってしまいます、はい」 


姫神「うん。そう言うことだから。私をがんばって届けて欲しい」 

 

上条「はいはい。それにしても姫神は軽いなぁ。正直、このままランニングできそうだな」 


姫神「上条君。女の子に質量の話はいただけない。叩かれても文句は言えない」 


上条「へいへい。でもさぁ、女の子って必要以上に体重を気にしすぎてると思うんだよな」 


姫神「違う。女の子にとって。体重は死活問題。特に今の季節は致死的問題」 


上条「そんなものなんでせうか。上条さん的には今の姫神くらいがベストですね」 


姫神「それ。本当に思って言っている?」グイッ 


上条「ほ、本当でひゅ……ですよ!だからそんなに顔を近づけないでください!」 


姫神「なぜ。顔を近づけてはいけない?それと上条君少し顔赤い」 


上条「そ、それはですね…… 


姫神「どうして。上条君は顔が赤い?」 


上条「それはその…………あぁっ!もう保健室が目の前じゃないか!良かったな、姫神!」 


姫神「そう。………………詩菜さんが言ったようにヘタレ」ボソッ 

 

 ☆   ☆   ☆ 


姫神「上条君。面倒なことを押し付けて。ごめんなさい」 


上条「別に面倒だなんて思ってないですよ。俺の責任もあるし、姫神になら迷惑かけられたって……ってなんだよ」 


姫神「別に。今日の上条君はいつもの三倍。やさしくしてくれるからびっくりした」ジー 


上条「……それは上条さんの優しさは普段全然ないということでせうか」 


姫神「違う。上条君はいつでも優しい。ただ今日はいつもより優しい。だから嬉しい」 


上条「別に言ってくれれば優しくするさ」 


姫神「やっぱり。今日の上条君は優しい」 

 

上条「まだ言いますか!そんな姫神にはこうだ!……うおっ」ガタッ 


姫神「きゃっ。自転車を揺らすのは卑怯」ギュッ 


上条「今日の上条さんは走り屋な気分なんです」 


姫神「でも。……公然と上条君の腰に。手を回せるのは嬉しい」 


上条「え?なんか言ったか姫神?」 


姫神「別に。ただ詩菜さんには。悪いことをしたと思う」 


上条「あぁそんなことか?別に大丈夫だって。母さん車持ってるし、むしろいつも姫神に悪いくらいだからさ」 

 

姫神「うん。今日は優しさに甘えることにする」ギュー 


上条「そうそう。姫神はがんばっているからたまの息抜きは全然いいと思うぞ」 


姫神「上条君。全然の後ろには否定する。でないと文法的におかしい」 


上条「うへぇ……。最近姫神ってさ、母さんや子萌先生みたいになってきたよな」 


姫神「そうかも。詩菜さんは尊敬している女性。子萌先生は上条君と補習受けるから。似てくるのは仕方ない」 


上条「それとさ」 


姫神「なに?」 


上条「……その、足大丈夫か?」チラッ 

  

姫神「大丈夫。先生も数日で腫れが引く。と言っていたから平気」 


上条「けどなぁやっぱり今は痛いよな?」 


姫神「うん。でもこうして二人乗りを。公然と出来るから気分はいい」 


上条「姫神は二人乗り好きなのか?」 


姫神「うん。今日初めて二人乗りした。風を切る感覚は楽しい」 


上条「そっか。そりゃよかった」 


姫神「今日。初めてした」ギュッ 


上条「な、なぜ繰り返していうのでせうか姫神さん」 

 

姫神「今日。初めてだった」 


上条「く、繰り返して言わなくていいです 


姫神「今日。は…… 


上条「だぁーー!もう!わかりました!今日初めて二人乗りしたっていうのはよく分かりましたから!全く、誰からこんなこと教わって来るんだか…… 


姫神「詩菜さん。事後報告した時そう言えば。上条君が喜ぶって言っていた」 


上条「また母さんかよ!あの人は一体姫神に何を教えているんだよ!」 


姫神「えっと。上条君が知りたいならわたし」ペロッ 

 

上条「うわあああ!姫神さん艶かしい声を出さないでください!首筋を舐めないでください!」 


姫神「そう。ならこうする」ギュー 


上条「あぁもう!好きなだけ抱きついてください!」 


姫神「うん。そうすることにした」 


上条「はぁ……。これは幸せか不幸せかどっちなんでせうか…… 


姫神「ふふふ。……上条君の匂いがする。ふふっ」クンクン 


 


五話 机と約束 



姫神「違う。ここは両辺に2を掛ける」 


上条「おぉ!分数式から普通の式に!……ということは答えは“a=2”だ!」ドヤッ 


姫神「違う。左辺に移動する時。マイナスを掛けて移動」 


上条「なるほど……。つまり答えは“-a=2”だ!」 


姫神「バカ。答えに掛けてはダメ。移動した時にマイナスを掛ける」 


上条「ひ、姫神さんの言葉遣いがどんどん荒くなっていく…… 


姫神「違う。私は巫女さん。神聖な言葉しか使わない」 

 

上条「知ってるよ。姫神の実家が神社だってことは」 


姫神「ダメ。今私の実家は関係ない。問題は上条君の頭」 


上条「ひ、ひでぇ…… 


姫神「違う。酷いのは上条君の頭の出来。このままだと本当に補習漬けになる」 


上条「そ、それはいやだなぁ…… 


姫神「夏休み。欲しいならしっかり勉強すること。全教科赤点なんて許さない」 


上条「は、はい……がんばります」 

 

姫神「うん。頑張れば撃墜は回避可。無理ならお休みは無し」 


上条「がんばります…… 


上条「……………… 


姫神「違う。ここは公式を使う」サッ 


上条「……………… 


姫神「違う。“hour”の冠詞は“an” 


上条「……………… 

 

姫神「ダメ。アルカリは化学では塩基。あとベンゼンの図が間違っている」 


上条「……………… 


姫神「全く違う。工芸品を書けっていう問題。なのにピーナッツはおかしい。」 


姫神「それと。正しくは落花生と書くべき。ピーナッツは殻無し。落花生は殻付きのこと」 


上条「……………… 


姫神「全然ダメ。書いていないことを選ばない。ちゃんと重要部分に線を引くこと」 

 

上条「うがああああああああああああ!何なんですか!何なんですかあああああああああああああ!」 

 

姫神「しっかり。発狂しても学力は上がらない。ペンを持って勉強」 


上条「ううぅ……。ひ、姫神さん後生ですから休ませてください……」バタッ 


姫神「違う。後生後生一生の願いの省略形。はいリピートアフターミー」 


上条「ううぅ……姫神が怖い…… 


姫神「怖くない。だからリピートアフターミー」 


上条「ううぅ……優しかった姫神はどこに…… 


姫神「ダメ。私だってこんなことしたくない」 


上条「なら!」 


姫神「ダメ。上条君が全教科オール赤点。なんてウルトラCを定期考査でしたから悪い」 

 

上条「ううぅ…… 


姫神「上条君。勉強は自分のためにするもの。最後は自分に返ってくるから。がんばろう」 


上条「もうやめて……上条君のHPはとっくにゼロよ…… 


姫神「はぁ。……仕方ないからお昼ご飯食べよう」ガサゴソ 


上条「ひ、姫神様ぁ!」 


姫神「でも。お昼ご飯を食べてから。また勉強すること」 


上条「はい…… 


姫神「うん。リビングに行こう。詩菜さんがご飯作ってるはず」 


上条「きました!よしっ!ご飯ご飯!」 


姫神「はぁ。先が思いやられる」 


 

つづく

3/5→




引用元

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370945717/ 

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